意味の意味ってなんですか？

なぜ分かるようになるのか分からない

｢それってどういう意味なんですか？｣そう聞くと、話し手は他の言葉に言い換える。聞き手はたいてい、言い換えられたその言葉で理解するか納得する。一回では無理な場合でも更に同じような質問を二回三回繰り返し、応酬を重ねると最終的にその意味が｢分かる｣ようになる。これ大変に不思議なことである。

言葉の意味ってなんぞ

当たり前であるが、言葉の意味とは言葉の意味なのであって言葉ではない。言葉は目に見える。意味は目に見えない。言葉は文字としてそこにある。だが意味の方はどこにあるのだろうか。人の頭の中？いいえ、人の頭の中にあるのはAA物質とかBB物質とかをぎっしり詰め込んだ脳みそだけであろう。どこにも｢意味｣という物質は見当たらない。では言葉の方、つまりは文字の方にこびりついていると考えるのはどうだろうか。そうである、お察しの通りこちらにも無理がある。同じ文字形でも違う意味をもっているなんてことは簡単に考えられるのだから。

不思議が少しでも伝われば幸い

意味は物質ではないから物理的位置を持たない。では意味とは一体なんなのか、と言われるとそんなのはもちろん私には知るよしもない。私はあくまで意味というのはまことに不思議だな〜と言いたいだけで、意味の正体を解き明かそうだなんてだいそれたことは考えていない。

言い換えは言い換えであって、意味ではない

言葉の言い換えをしていくうちに、相手の言いたいニュアンスが伝わる。個人的に日常の中で不思議に思っていることランキングの第一位である。それはなぜ分かるのだろうか。だって私が｢それはどういう意味なんですか？｣と聞いても、相手が答えているのは決してその言葉の意味ではなく、単に別の言葉に言い換えているだけであろう。どんなに言い換えても、決して意味自体は姿を現すことができないのだから、原理的には分かるはずなどないではないか。昔の人が言霊やイデアなどを想定したことは至極当たり前である。言葉の意味の説明にはどうしたってそんなことが必要なのである。

なぜか

人間は辞書を引いて言葉を覚えるのではない。使っていくうちに徐々に使えるようになるのである。ではなぜ使っていくうちに覚えるのか、それはれっきとした謎である。覚え方なんて方法論は端的にないのだ。いつの間にか「猫」はモフモフした可愛い四つ足の動物であると「なぜか」知るようになっているのである。

本当なんなんでしょうね

言葉の意味とは何なのだろうか。それは我々人間がつくりだしたと言えるほど我々の手には負えていない。だが世界に属すると言うにはあまりに人間に寄りすぎている。考えれば考えるほどに謎は深まるばかりである。