底辺人間記録

底辺人間の行き場なき思考の肥溜め

矛盾する生き物なのに矛盾を放っておけない

人は矛盾する生き物

人は矛盾する生き物だとよく言われる。これはその通りだろう。そもそもその存在の形式から人は矛盾を免れないのである。望んで生まれてきた人はいない、故に望んで生きている人も当然いはしない。だけども、人は生きている。既に存在した自分がこれからもあり続けることは望んでいるからだ。存在し続けることは望むけれど、生きていることは別に望んでいない。言い換えれば、存在するそれ自体は望んでいるけれど、「この形で」存在していることは別に望んだものではないという、その間に無限の矛盾が横たわるのである。

 

 

人は矛盾を放っておけない生き物

人は矛盾を放っておけない。矛盾こそがこの世唯一の確固たる「間違い」だからである。矛盾しているから何かが間違っている、というのではない。矛盾しているそのことが、人にとっては既にして間違いなのである。矛盾はその存在からして、常に直されるべきものとして人の視界にあるということだ。ここではどう直されるかは重要ではない。直された結果だけあればいい。とにかく矛盾が自分の視界から消えすれば、人の心は安らぐのだ。矛盾は、そのくらい人にとって気にせずには居られない鬱陶しいものなのである。

 

 

最大の矛盾

人は矛盾する生き物であるのに、決して矛盾を放っておけない。その事がつまりは人の世の最大の矛盾であり、人を無限の矛盾解消へと駆り立てる元凶でもある。人生はそのおかげで、死ぬまで自分の存在にピッタリな「この形」を探す旅に成り代わる。そんな形などあるはずもないと知っていても、旅はやめられない。存在を望んでいるのに生は望んでいないその矛盾は絶えず「直して、直して」と叫び続けるからである。

 

 

見極めて正しく解消しよう

矛盾は「正しく」解消しなくてはいけない。そうでなければ、新たな別の矛盾を生むだけである。視界からいち早く消したくとも、突っ走ては本末転倒だ。状況を見極め、どうして矛盾しているのかをよく考える。片方が本当で片方が虚偽だから矛盾しているのか、両方とも虚偽だから矛盾しているのか、両方とも本当であるけれど矛盾しているのか、全部が有り得るパターンだ。そのうちのどれであるのか、きちんと知らなければならない。そうでなくては、そもそも解消のしようもないのである。もし両方とも本当なら解消しようとするだけ無駄な労力になってしまう。

 

 

付き合い方が分かる

大事なのはやはり、この世には解消できない矛盾があると知ることだ。知っても旅は終わらせられないけれど、どれが解消できない矛盾かが分かれば、焦ることはなくなる。どうせ死ぬまで解消できないのだからと、気楽に気長にむしろ楽しみながら、その矛盾と付き合っていけるようになるのである。

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