底辺人間記録

底辺人間の行き場なき思考の肥溜め

夢と現実の境目

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夢を見た。すんごく訳の分からない夢が一夜に4、5個まとめて上映されて、不思議な気分で目が覚めた。最後に見た夢は、夢と現実の境目がはっきりしていなかった。枕元に置いてあるブタの貯金箱からお金が盗まれるというなんとも夢のない夢だった。実際、本当に家には枕元にブタの貯金箱が置いてある。そんな盗まれるわけない、これは夢だって何回も夢の中で唱えたけれど、妙に現実と全てが一致していて、酷く落ち着かなかった。起きて顔をあげ、昨日と変わらぬブタの姿をそこに確認し、ようやく安堵した。あぁだよね。そんなわけないよね。知ってた。と心の中で繰り返し、やっと私のいつも通りの日常は始まった。

 

 

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人が夢を夢だと思う条件はなんだろうと考える。例えば、毎日現実のように連続する夢を見ることができると想像してみよう。普段通りに仕事をして家に帰り眠りにつくと、夢の世界で目が覚める。それは昨日見た夢の続きだ。世界を旅して回るでもいいし、ドラゴンと勇敢に戦うでもいいし、謎の美少女を偶然に助けるでも、なんでもいいのだけど、とにかく昨日と地続きであるような夢を今日も見る。そうして夢の世界で眠りにつくと、今度は現実で目が覚める。それをずっと繰り返す。すると、人はどちらが現実であるのか分からなくなるだろうか?

 

 

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逆に現実の現実たる所以はなんだろうか。よくドラマなどでは自分の頬をつねり痛かったらそれが現実だと言いたげなシーンを見かけるが、これはは本当にそれが現実だということの証明になるだろうか。夢の中でだって、全く同じじゃないか。夢の中でだって人は「実際に」痛むことができる。どうして痛ければ現実と言えるのか、ちっともよく分からない。現実の現実たる所以はもっと別にある。それは「そこから目覚めることがない」ということだ。「あ、あれは夢か」と現実に対して目覚める視点がないので、現実は永遠に現実なのである。

 

 

 

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この現実が夢なら良かったと思うことはあるだろうか。私はあまりない。ここが夢だとして、そこから覚めた現実がどれほど今と違う?と考えると、たぶん大差ないような気がするのだ。どんな現実でも必ずここに私がいる。そのことは絶対に変わらないのだから。それに私には夢となって消えて欲しいような過去もない。そんな過去はもうとっくに私の記憶から消えているからだ。でも逆にこの夢が現実ならな!って思うことならいっぱいある。あぁ世界を旅して回って、勇敢にドラゴンと戦って、謎の美少女を助けて、最初は警戒してツンツンしてたのに、徐々に心を開かれて、行く宛てがないの…と告げられ、ロマン溢れる二人暮しが始まったりする現実を誰か私にくれ。

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