底辺人間記録

底辺人間の行き場なき思考の肥溜め

この世で一番不平等なもの

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この世で一番平等なものは死である。そこにはいかなる例外もない。生きとし生けるもの全ての宿命であり、逃れることは決して叶わない。では逆にこの世で一番不平等なものはなんだと思いますか?個人的にはそれは出会いである。人との出会いに限らない。ものや出来事や考え方や概念、その他全ての出会いは、本当に不平等だとしか感じられない。誰かにとっては幼少期には既に出会っていた当たり前のものが、誰かにとっては一生出会わずに人生を終えてしまうものであったりするし、誰かにとっては一生出会わずに済んで人生を終えられたものが、誰かにとっては幼少期には既に出会い当たり前に根付いてしまったものであったりもする。良い意味でも悪い意味でも一つの出会いによって人生が大きく変えられてしまうことは決して珍しくないのに、その出会いが訪れるかどうかは、ただただ人の辿る運命次第なのである。

 

 

2

世の中では生まれや遺伝子の不平等を問題視する声が以前より目立つが、その意味するところも結局は良い生まれや遺伝子があれば、良い出会いに恵まれやすいということであろう。生まれや遺伝子それ自体に何かの価値があるのではなく、むしろ良い出会いに恵まれやすいから、それらの生まれや遺伝子は良いとされているに過ぎない。どんな生まれや遺伝子を持とうが、「自分はこのために生まれてきたんだ」と思えるような出会いが人生に起こるか否か、それが全てである。

 

 

3

極力良いものに出会い、悪いものとの出会いは避ける。理想だけれども、これは人の力では難しい。自分にはコントロールできないからこそ、それは出会いなのであって、予想できたり事前に仕組めるようなことでは決してない。出会ってからどうするか、人に変えられるのはやはりそれ以降である。

 

 

4

不平等な出会いの後、平等な死が待っている。そんな人生を穏やかな気持ちで過ごそうと思えば、今まであった良い出会いに思いを馳せて感謝し、悪い出会いは運が悪かったのだとキッパリ忘れていくしかない。この出会いがなかったら自分は今頃どうなっていたのか考えるだけで恐ろしいというようなことが人生にあるのなら、それこそが自分にとっての最上の出会いだったと言えるだろう。そんな最上の出会いから得られたものをひたすら大切にして、できる限り極めていく。そして、やがては「この出会いがなかったとしても」と言えるような決して傲慢によるものではない列記とした強さを身につけ、その出会いが訪れなかった世界線の自分をも救い上げるのだ。

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